採用要件を満たさない人材は「採用しない」企業が6割超
転職の書類選考や面接で、志望動機は毎回ほぼ必ず聞かれる項目です。それだけに「なんとなく前向きな言葉を並べておけばいい」と考えている人も少なくありませんが、実際の採用現場ではその中身がかなり細かく見られています。
マイナビキャリアリサーチLabが人事担当者1,500名を対象に実施した「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」によると、募集当初に求めていたスキルや経験を満たさない応募者について「採用しないことが多かった」と回答した企業は62.1%で、前年より7.7ポイント増加しました。人手不足が続く一方で、企業側は人数を確保するより、求める要件に合った人材を厳選する方向に動いているということです(マイナビキャリアリサーチLab「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」)。
この傾向を踏まえると、志望動機で「なぜこの会社なのか」「入社後にどう活躍できるのか」を具体的に説明できるかどうかは、以前より選考結果を左右しやすくなっていると考えられます。この記事では、伝わる志望動機の基本構成と、書くときに意識したいポイントを整理します。
志望動機の基本構成
長く書こうとして情報を詰め込みすぎると、かえって何を伝えたいのかがぼやけてしまいます。まずは次の3つのブロックで骨格を作ると、読み手にとって分かりやすい文章になります。
1. 結論を先に書く
「貴社を志望する理由は、○○だからです」というように、最初の一文で結論を示します。人事担当者は多くの応募書類に目を通すため、冒頭で要点が分からない文章は読み進めてもらいにくくなります。
2. 根拠となる経験・エピソードを添える
結論だけでは説得力が弱いので、そう考えるに至った具体的な経験を続けます。前職でどんな業務に携わり、何を工夫し、どんな結果につながったか。数字や固有名詞を交えて書くと、話に具体性が出ます。
3. 入社後に何をしたいかで締める
最後に、その経験やスキルを応募先でどう活かしたいかをまとめます。「頑張ります」といった意気込みだけで終わらせず、「これまでの○○の経験を活かして、貴社の△△に貢献したい」など、応募先の事業や職種と結びつけて書くと印象に残りやすくなります。
伝わる志望動機にするための3つのポイント
企業研究で「その会社である理由」を具体化する
同業他社ではなくその会社を選んだ理由を説明できるかどうかは、志望度の高さを判断する材料になります。事業内容や強み、今後の方向性を採用ページやIR情報、プレスリリースなどで確認し、自分の経験や価値観との接点を探しておくと、書く内容に厚みが出ます。
自己PRとの違いを意識する
自己PRが「自分に何ができるか」を伝えるのに対し、志望動機は「なぜこの会社でそれをやりたいのか」を伝えるものです。両者の内容が重なりすぎると、書類全体が単調になってしまいます。自己PR欄と役割分担を意識しながら書き分けると、書類全体のバランスが整います。
数字や固有名詞で具体性を出す
「売上向上に貢献しました」よりも「担当エリアの売上を前年比115%まで伸ばしました」のように、可能な範囲で数字を添えると説得力が増します。守秘義務に配慮しつつ、成果や規模感が伝わる表現を選びましょう。
やってしまいがちなNGパターン
待遇・条件だけを理由にする
給与や勤務地、休日の多さは転職の動機として自然なものですが、それだけを志望動機として書くと「入社後の定着意欲が見えない」という印象を与えかねません。条件面が動機の一部にある場合も、そこに仕事内容への関心を組み合わせて書くとバランスが取れます。
どの会社にも当てはまる内容になる
「成長できる環境だと感じた」「社会に貢献したい」といった表現は、具体的な根拠がないとどの企業にも当てはまってしまい、志望度の高さが伝わりません。前段で触れた企業研究をもとに、その会社ならではの要素を盛り込むことが大切です。
抽象的な言葉で終わらせる
「精一杯頑張ります」「全力で取り組みます」といった意気込みだけで締めくくると、具体性に欠ける印象になります。入社後にどんな業務でどう貢献したいのか、できるだけ具体的な行動や役割に落とし込んで書きましょう。
改善例で見る書き方の違い
営業職からの転職を例に、書き方でどれだけ印象が変わるかを見てみます。
改善前
「貴社は成長性の高い企業だと感じ、志望しました。持ち前の頑張りを活かし、精一杯努力してまいります。」
この内容だと、成長性という言葉が具体的に何を指すのか分からず、他の応募者にも使い回せる文章になってしまっています。どんな経験を持つ人なのかも見えてきません。
改善後
「前職では法人営業として新規開拓を担当し、担当エリアの契約件数を2年で1.4倍に伸ばしました。貴社が注力されている中小企業向けのソリューション営業は、これまでの新規開拓の経験を最も活かせる領域だと考え、志望しました。入社後は既存の営業手法に加え、これまで培った顧客ヒアリングの進め方を取り入れ、早期に成果を出せるよう取り組みたいと考えています。」
結論・根拠となる実績・入社後の貢献という3つの要素が入ることで、同じ「成長したい」という思いでも説得力が大きく変わることが分かります。
まとめ
志望動機は、結論・根拠となる経験・入社後の貢献という基本構成を押さえるだけで、伝わりやすさが大きく変わります。企業側が採用要件との適合をこれまで以上に重視する傾向にあるからこそ、応募先ごとに内容を作り込み、自分の経験とその会社ならではの魅力を具体的に結びつけて書くことが、選考を通過するための近道になります。
新卒で入った会社を1年で辞め、情報がないまま手探りで転職活動をした経験があります。その後HR・人材業界で7年間、採用や転職支援の現場に携わってきました。「知っていれば防げた遠回り」を減らせるよう、業界で得た知見とデータをもとにした転職・キャリアの情報をこのブログで発信しています。エージェント選びや書類の書き方など、実践的な内容を中心に更新中です。
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