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「上司に退職を切り出すのがつらい」「もう二度と職場に行きたくない」——そんな理由から、自分の代わりに退職の意思を会社に伝えてくれる「退職代行サービス」を検討する人が増えています。実際、東京商工リサーチの調査では、退職代行を利用した退職を経験した企業の割合は2025年6月の7.2%から2026年4月には8.7%まで上昇しました。
この記事では、退職代行サービスの仕組みや運営元ごとの違い、実際に増えているデータ、利用の流れや費用相場、そして利用後の転職活動の進め方までを網羅的に解説します。
退職代行サービスとは
- 本人に代わって、退職の意思を会社に伝えてくれるサービス
- 運営元は「民間企業」「労働組合」「弁護士」の3タイプ
- 即日対応可能な業者も多く、出社せずに退職できるケースがある
退職代行サービスとは、依頼者本人に代わって会社へ退職の意思を伝え、退職手続きを進めるサポートをするサービスです。上司との対面や電話でのやり取りを避けたい人、パワハラなどで出社自体が困難な人を中心に利用が広がっています。
多くのサービスが「即日退職」を打ち出しており、依頼した当日から出社しなくてよくなるケースも少なくありません。ただし、運営元によって対応できる業務範囲が大きく異なる点には注意が必要です。
運営元による3つの違い(民間企業・労働組合・弁護士)
要点は次の3つです。
- 民間企業運営:退職の意思を伝えるだけ。交渉は法律上できない
- 労働組合運営:団体交渉権があり、有給消化などの交渉が可能
- 弁護士運営:あらゆる交渉・法的トラブル対応が可能。費用は最も高い
退職代行は「誰が運営しているか」によって、できることとできないことがはっきり分かれます。民間企業が運営するサービスは、依頼者の希望を会社に「伝える」ことしかできず、有給休暇の取得日や未払い賃金についての交渉を行うことは法律上認められていません。
一方、労働組合が運営(または労働組合と提携)するサービスは、憲法で保障された団体交渉権に基づいて会社と交渉できるため、有給消化の調整などに対応できます。弁護士が運営するサービスは、交渉に加えて未払い残業代の請求やハラスメントの慰謝料請求、訴訟対応まで一括して依頼できる代わりに、費用は高めです。
| 運営元 | 費用相場 | 交渉の可否 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 民間企業運営 | 1万円〜2.4万円 | 不可(意思を伝えるのみ) | 有給消化などで揉める要素がなく、費用を抑えたい人 |
| 労働組合運営 | 2.5万円〜3万円 | 可(団体交渉権に基づく交渉) | 有給消化や退職日の調整を交渉してほしい人 |
| 弁護士運営 | 5万円〜10万円 | 可(法的トラブル全般に対応) | 未払い残業代やハラスメントなど法的対応が必要な人 |
退職代行の利用が増えている背景をデータで見る
要点は次の3つです。
- 企業の退職代行経験率は1年弱で7.2%→8.7%に上昇
- 大企業ほど利用経験率が高い(21.3%)
- 個人の利用率は20代が18.6%と突出
まず企業側のデータを見てみましょう。東京商工リサーチが実施した調査によると、2024年1月以降に退職代行サービスを利用した退職を経験した企業の割合は、2025年6月時点で7.2%でしたが、2026年4月の調査では8.7%まで上昇しました。特に大企業では21.3%と、5社に1社以上が経験している計算です。

大企業ほど利用経験率が高い理由としては、退職の手続きが制度として整っているぶん、代行業者を介しても心理的なハードルが低く、スムーズに処理が進みやすいことが挙げられています。
次に個人側のデータです。マイナビキャリアリサーチLabの調査では、直近1年以内に転職した人のうち16.6%が退職代行を利用したと回答しました。年代別に見ると、20代が18.6%で最も高く、30代17.6%、40代17.3%と続き、50代になると4.4%まで下がります。

若い世代ほど「会社に気を遣うより、確実に・早く辞めたい」という意識が強く、退職代行への心理的抵抗が小さいことがうかがえます。実際、東京商工リサーチの別調査でも、退職代行を利用した退職者の年代は20代が約6割を占めるという結果が出ています。
退職代行を使うべきケース・使わなくてもいいケース
要点は次の3つです。
- ハラスメントや強い引き止めがある場合は利用価値が高い
- 関係が良好な職場では自分で伝えた方が円満な場合も多い
- 迷ったら「出社できるかどうか」を基準に考える
退職代行の利用が向いているのは、上司からのパワハラや暴言がある、何度伝えても退職を認めてもらえない、退職の意思を伝えること自体に強い恐怖や苦痛を感じる、といったケースです。また、有給休暇が使いにくい社風の会社で確実に有給を消化したい場合も、労働組合運営・弁護士運営の代行を使うメリットがあります。
一方で、上司や同僚との関係が良好で、引き止めもそこまで強くないと予想される場合は、自分の言葉で退職の意思を伝えた方が円満に進むことも少なくありません。今後同じ業界で働く可能性がある場合、退職代行の利用によって関係者に事情を知られることに抵抗を感じる人もいます。
退職代行を利用する流れ
実際の利用は、多くのサービスで以下のようなステップになります。
- 無料相談・問い合わせ:LINEや電話で状況を伝え、対応可否や料金を確認する
- 申し込み・支払い:料金を支払い、必要事項(会社名・退職希望日・貸与物の有無など)を伝える
- 会社への連絡:代行業者が会社に電話・書面で退職の意思を伝える
- 退職届の提出:郵送やメールで退職届を提出する(業者から案内される場合が多い)
- 私物・貸与物のやり取り:社員証やPCなどの返却、私物の引き取りを郵送で行う
- 離職票・源泉徴収票などの受け取り:退職後に会社から郵送されるのを確認する
依頼から退職完了までは早ければ即日〜数日程度です。ただし、離職票や源泉徴収票の発行は会社側の手続きに依存するため、退職代行を使った場合でも一定の時間がかかる点は理解しておきましょう。
利用時に知っておきたい注意点
要点は次の3つです。
- 民間企業運営では有給消化などの交渉ができない
- 会社が3割程度、代行業者からの連絡に応じないケースもある
- 離職票が届かない・貸与物の返却で揉めるトラブルもある
退職代行にはメリットが多い一方で、注意点もあります。東京商工リサーチの調査では、退職代行からの連絡に対して企業の約3割が「取り合わない」と回答しており、対応方針は会社によって差があります。交渉が必要になりそうな場合は、最初から労働組合運営・弁護士運営のサービスを選んでおくと安心です。
また、有給休暇は労働基準法第39条で認められた権利であるものの、その取得交渉ができるのは労働組合または弁護士が運営する退職代行に限られます。民間企業運営のサービスに依頼した場合、有給消化を拒否されても交渉してもらえない可能性がある点は事前に理解しておきましょう。離職票が届かない、貸与物の返却をめぐってやり取りが長引くといったトラブルも報告されているため、契約前に対応範囲をよく確認することが大切です。

退職代行を使った後、転職活動はどう進める?
要点は次の3つです。
- 退職代行を使った事実を面接で正直に話す必要はない
- 退職理由は前向きな表現に言い換えて伝える
- 次の転職先を決めずに辞めた場合は早めにエージェントへ相談する
退職代行を使って会社を辞めたこと自体は、転職活動において不利になる情報ではありません。面接で退職理由を聞かれた場合は「新しい環境でスキルアップを目指したかった」「キャリアの方向性を変えたかった」など、前向きな表現に言い換えて伝えれば問題ありません。無理に退職代行を使った経緯を話す必要はないのです。
一方で、退職代行の利用者は20代を中心に、次の転職先を決めずに退職しているケースも多いのが実情です。収入が途切れる期間を短くするためにも、退職が決まった時点で早めに転職エージェントに相談し、並行して求人を探し始めることをおすすめします。特に第二新卒や20代向けの転職支援に強いエージェントであれば、退職直後のブランクが浅い段階からのサポートに慣れているため、スムーズに次のキャリアへ進みやすくなります。
たとえば株式会社ネオキャリアが運営する「第二新卒エージェントneo」は、フリーター・既卒・第二新卒・中退・高卒など、幅広い状況の求職者に対応した無料の就職・転職支援サービスです。書類選考の通過率の高さや20代からの支持率の高さを強みとしており、これまでの経歴に不安がある人でも、専任のアドバイザーと一緒に応募書類の作成や面接対策を進められます。退職代行を使って勢いよく会社を辞めたものの「次に何をすればいいか分からない」という人ほど、こうした無料相談を早めに活用する価値があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 退職代行を使うと会社にバレて転職先での評判が悪くなりませんか?
A. 退職代行を利用したこと自体が転職先に伝わることは基本的にありません。前職と転職先に直接の接点がない限り情報が共有されることは考えにくく、面接でも自分から話す必要のない情報です。前向きな退職理由を用意しておけば問題なく選考を進められます。
Q2. 退職代行はアルバイトや契約社員でも使えますか?
A. 雇用形態にかかわらず利用できるサービスがほとんどです。ただし、契約期間の定めがある有期雇用の場合は、契約内容によって扱いが異なることがあるため、申し込み時に自分の雇用形態を正確に伝え、対応可否を確認しておきましょう。
Q3. 即日退職と言われたのに、まだ引き止めの連絡が来ます。どうすればいいですか?
A. 退職代行を通じて一度退職の意思を伝えた後は、原則として会社は本人に直接連絡すべきではありません。それでも連絡が続く場合は、契約している代行業者に再度対応を依頼しましょう。民間企業運営のサービスで対応が難しい場合は、労働組合運営や弁護士運営のサービスへの切り替えを検討してください。
まとめ
退職代行サービスは、退職の意思を伝えること自体に強いストレスを感じる人や、ハラスメントなどですぐに出社したくない人にとって有効な選択肢です。ただし、運営元によって交渉できる範囲が大きく異なるため、有給消化や未払い賃金の交渉が必要になりそうな場合は、労働組合運営や弁護士運営のサービスを選ぶことが重要です。
また、退職代行を使って会社を辞めた後は、収入のブランクを長引かせないためにも、早めに転職エージェントへ相談し、次のキャリアに向けた準備を並行して進めましょう。
参照ページ/引用元:
東京商工リサーチ「『退職代行』による退職、大企業の15.7%が経験」
東京商工リサーチ「『退職代行』からの連絡、企業の3割取り合わず」
マイナビキャリアリサーチLab「退職代行サービスに関する調査レポート(2024年)」
新卒で入った会社を1年で辞め、情報がないまま手探りで転職活動をした経験があります。その後HR・人材業界で7年間、採用や転職支援の現場に携わってきました。「知っていれば防げた遠回り」を減らせるよう、業界で得た知見とデータをもとにした転職・キャリアの情報をこのブログで発信しています。エージェント選びや書類の書き方など、実践的な内容を中心に更新中です。
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