「そろそろ転職しようかな」と考えている人は、日本にどれくらいいるのでしょうか。総務省統計局の労働力調査によると、2025年平均で転職を希望している人は1,023万人。一方で、実際にその1年間で転職した人は330万人でした。希望する人の数と、実際に動いた人の数には、かなりの開きがあります。
この記事では、公的統計の数字をもとに「転職したい人」と「実際に転職した人」のギャップを見ていきます。数字を眺めるだけでなく、自分がいまどちらの側にいるのかを考えるきっかけにしてもらえればと思います。
転職を希望している人は1,023万人。10年で200万人以上増えた
総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」の2025年平均結果によると、転職等希望者数は1,023万人で、前年から23万人増えました。増加は2年ぶりです。
ここでいう「転職等希望者」とは、働いている人のうち、いまの仕事を辞めてほかの仕事に変わりたいと考えている人、または、いまの仕事に加えて別の仕事もしたいと考えている人を指します。実際に応募や面接をしているかどうかは問われません。

2015年の812万人と比べると、10年で211万人増えています。特に2021年から2023年にかけての伸びが大きく、この3年間だけで110万人増えました。転職を選択肢として意識すること自体は、かなり一般的になっていると言えそうです。
実際に転職した人は330万人。ここ数年は横ばい
では、実際に転職した人はどうでしょうか。2025年平均の転職者数は330万人で、前年から1万人の減少。4年ぶりの減少となりました。
労働力調査での「転職者」は、就業者のうち、過去1年間に離職を経験して現在の仕事に就いた人を指します。つまり「希望」ではなく「実行した結果」の数字です。

コロナ禍の2021年に290万人まで落ち込んだあと回復しましたが、2023年以降は328万人、331万人、330万人とほぼ横ばいです。希望者が右肩上がりで増えているのに対して、実行した人の数はここ3年ほど動いていません。
希望者と転職者の差は約690万人
2つの数字を並べると、1,023万人と330万人で、差はおよそ690万人になります。転職を考えている人のうち、1年のあいだに実際に職を変えた人は3割ほど、という計算です。
ただし、この2つは調査上の定義が異なる指標なので、同じ集団を追いかけた「実行率」ではない点には注意が必要です。転職等希望者は現在働いている人の中での希望、転職者は過去1年に離職を経て就業している人。厳密な意味での分母と分子の関係にはなっていません。それでも、桁が3倍ちがうという事実は、「考えている段階の人」がかなり多いことを示しています。
男女で見ると、希望はほぼ同数、実行は女性がやや多い
男女別に見ると、少し違った姿が見えてきます。

転職等希望者は男性514万人、女性509万人とほぼ同数です。一方、実際に転職した人は男性156万人に対して女性174万人で、女性のほうが18万人多くなっています。前年からの動きも逆で、男性が2万人増、女性が3万人減でした。
女性は非正規雇用の比率が高く、雇用期間の定めがある働き方も多いため、契約満了などをきっかけに職が変わる機会が構造的に多いことが背景にあると考えられます。「決断力の差」といった話ではなく、働き方の分布の違いが数字に出ている面が大きいでしょう。
なぜ「希望」から「実行」まで遠いのか
「いつか」の希望が多く含まれている
転職等希望者には、「3年以内には環境を変えたい」「もっといい条件の仕事があれば」といった、期限を切っていない希望も含まれます。統計上は同じ1人としてカウントされますが、来月動く人と、5年後を漠然と考えている人では行動が違って当然です。この層の厚さが、690万人という差の一部をつくっています。
情報収集で止まりやすい
求人サイトを見る、口コミを読む、年収相場を調べる。ここまでは負担が小さいので進みやすい一方、履歴書や職務経歴書を書き、面接の日程を調整する段階になると、急に手間が増えます。実際、転職活動が長引く理由として書類作成でつまずくケースはよく聞かれます。ここが最初の分かれ目になりやすいところです。
条件が折り合わない
応募まで進んでも、年収・勤務地・働き方のいずれかが合わずに見送るケースもあります。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」では、転職して賃金が増えた人の割合は40.5%、減った人は29.4%でした。増えた人のほうが多いとはいえ、3割は下がっているのが実態です。慎重になる人がいるのは自然なことでもあります。
「いつか転職したい」を前に進めるための3つの整理
1. 希望に期限をつける
「いつか」のままだと、忙しさに流されて何年も経ちます。「今年度中に3社は応募してみる」「半年後に判断する」といった形で、いったん時期を仮置きするだけでも動きは変わります。仮置きなので、あとで変えて構いません。
2. 辞めたい理由を「条件」に言い換える
「今の職場が合わない」は理由としては本当でも、そのままでは求人を選ぶ基準になりません。残業時間なのか、評価のされ方なのか、任される仕事の範囲なのか。不満を分解して、「次の職場で満たしたい条件」として3つほど書き出すと、求人票の見方が具体的になります。
3. 残る選択肢も並べて比べる
転職は目的ではなく手段です。異動希望を出す、社内で職種を変える、資格を取って担当領域を広げるといった選択肢と並べたうえで、それでも転職が一番早いなら動く。この比較をしておくと、活動中に迷いが出たときの判断軸になります。
まとめ
2025年平均で、転職を希望している人は1,023万人、実際に転職した人は330万人。希望者は10年で200万人以上増えた一方、実行した人の数はここ3年ほど横ばいです。「転職を考えている」という状態は、いまや珍しくもなんともありません。
だからこそ、考えている段階で止まっているのか、動く準備をしているのかの差が出やすくなっているとも言えます。まずは期限を仮置きして、不満を条件に言い換えるところから始めてみてください。
参考・出典
新卒で入った会社を1年で辞め、情報がないまま手探りで転職活動をした経験があります。その後HR・人材業界で7年間、採用や転職支援の現場に携わってきました。「知っていれば防げた遠回り」を減らせるよう、業界で得た知見とデータをもとにした転職・キャリアの情報をこのブログで発信しています。エージェント選びや書類の書き方など、実践的な内容を中心に更新中です。
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