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「なぜ介護職を選んだのか」――介護業界への転職面接では、ほぼ必ずと言っていいほど聞かれる質問です。しかし、いざ言葉にしようとすると「人の役に立ちたいから」だけでは薄く感じてしまい、うまくまとまらないという人は少なくありません。
この記事では、介護職への転職理由・志望動機を面接官に説得力を持って伝えるための考え方と、未経験からの転職・異業種からのキャリアチェンジ・家族の介護がきっかけなど、状況別の例文を紹介します。あわせて、避けたいNGな伝え方や、志望動機以外に準備しておきたいことも解説します。
介護職への転職はなぜ増えている?求人動向をデータで確認
- 介護業界の有効求人倍率は全職種平均の3倍以上と、慢性的な人手不足が続いている
- 処遇改善加算などの効果で、介護職員の平均給与は年々上昇傾向にある
- 離職率は全産業平均を下回る水準まで改善しており、「定着しやすい業界」に変わりつつある
介護職への転職を考えるとき、まず押さえておきたいのが業界全体の状況です。「介護職は大変そう」というイメージだけで判断するのではなく、実際のデータを知っておくと、志望動機にも説得力が生まれます。
有効求人倍率は全職種平均の3倍以上
厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、2025年10月分の職業計(全国平均)の有効求人倍率が1.18倍であるのに対し、介護関係職種の有効求人倍率は3.97倍に達しています。これは、介護業界が働き手を強く求めている状況を示すデータです。

倍率が高いということは、それだけ求人数に対して人材が不足しているということ。未経験者やブランクのある人でも、意欲があれば採用のチャンスが広がりやすい市場と言えます。
平均給与は年々上昇。処遇改善の動きが後押し
「介護職は給料が安い」というイメージを持つ人もまだ多いですが、処遇改善加算などの制度整備により、状況は変わりつつあります。厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、月給制・常勤の介護職員の平均給与額は338,200円で、前年度の令和5年度から約1.4万円増加しました。

特別養護老人ホーム(特養)など夜勤を伴う施設形態では、平均給与がさらに高くなる傾向もあります。給与面の変化も、志望動機の中で「業界の将来性」として触れられる材料になります。
離職率は全産業平均を下回る水準に改善
公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」によると、訪問介護員・介護職員の離職率は12.4%で、調査開始以来もっとも低い水準となりました。厚生労働省「雇用動向調査」による全産業平均の離職率15.0%と比べても、すでに下回っています。

「介護職は定着しにくい」というイメージは、データの上ではすでに過去のものになりつつあります。面接では、こうした背景を理解した上で志望していることを伝えると、業界研究をしっかり行っている印象を与えられます。
面接で「なぜ介護職なのか」を聞かれる理由
採用担当者が転職理由・志望動機を必ず聞くのには、明確な意図があります。ポイントは次の3つです。
- 長く働き続けてもらえるか(定着性)を見極めたい
- 介護という仕事の大変さを理解した上で応募しているかを確認したい
- 自施設・自法人でなければならない理由があるかを知りたい
介護職は人手不足だからこそ、採用側は「すぐに辞めてしまわないか」を強く警戒しています。給与や待遇だけを理由にしていると、他により条件の良い施設が見つかった時点で離職するのではと懸念されてしまいます。だからこそ、表面的な言葉ではなく、自分自身の経験に根ざした理由を語ることが重要です。
好印象を与える志望動機の組み立て方
説得力のある志望動機は、思いつきではなく型に沿って組み立てることで格段に伝わりやすくなります。以下の手順で整理してみましょう。
- きっかけ:介護職に関心を持った具体的な出来事や経験を述べる
- 気づき・学び:そのきっかけから何を感じ、何を大切にしたいと思ったかを述べる
- 行動:資格取得や情報収集など、実際に起こした行動を示す
- この施設を選んだ理由:数ある職場の中でなぜここを志望するのかを明確にする
- 将来像:入職後にどう貢献し、どう成長したいかを述べる
特に4番目の「この施設を選んだ理由」を省いてしまう人が多いのですが、ここがないと「介護職ならどこでも良いのでは」と受け取られかねません。施設の理念やケアの方針、利用者層など、事前に調べた情報を盛り込むことが差別化のポイントです。
ケース別の志望動機例文
ここからは、代表的な4つのケースに分けて例文を紹介します。自分の状況に近いものを参考に、実際の経験や施設名を当てはめてアレンジしてください。
ケース1:未経験・異業種からの転職の場合
これまで介護と接点のなかった職種から転職する場合は、「なぜ未経験の分野に飛び込むのか」という納得感を示すことが重要です。
前職では販売職として、日々多くのお客様に接する中で、特にご年配のお客様との会話にやりがいを感じていました。丁寧な対応を心がけるうちに、単に商品を売るだけでなく、その方の生活そのものに寄り添う仕事がしたいと考えるようになり、介護職への転職を決意しました。未経験ではありますが、初任者研修を修了し、現場で必要な基礎知識は身につけています。前職で培った傾聴力とホスピタリティを活かし、利用者様お一人おひとりに寄り添えるスタッフを目指したいです。
ケース2:同業界(福祉・医療系)からのキャリアチェンジの場合
保育や医療事務など隣接分野からの転職では、これまでの経験と介護の共通点・つながりを言語化すると説得力が増します。
保育士として5年間、子どもたちの成長を支える仕事に携わってきました。年齢は違っても「その人らしい生活を支える」という点では介護も共通していると感じ、より幅広い年代の方の生活を支えたいという思いから介護職への転職を決めました。保育の現場で培った、相手のペースに合わせて根気強く向き合う姿勢は、介護の現場でも活かせると考えています。
ケース3:家族の介護がきっかけの場合
家族の介護経験は説得力のある動機になりますが、「感情的な理由だけ」で終わらせず、仕事として続けられる理由まで踏み込むことが大切です。
3年前から祖母の在宅介護に携わる中で、介護は家族だけで抱え込むには限界があり、専門知識を持つプロの支えがどれほど心強いかを実感しました。同時に、日々の小さな変化に気づき、対応していく介護の仕事に大きなやりがいを感じるようになりました。実体験があるからこそ、ご家族の不安な気持ちにも寄り添える介護士になりたいと考え、貴施設を志望いたします。
ケース4:第二新卒・若手で介護職を初めてのキャリアに選ぶ場合
社会人経験が浅い場合は、なぜ数ある職業の中から介護を選んだのか、将来のキャリアビジョンとあわせて語ると好印象です。
学生時代のボランティア活動で高齢者施設を訪れた際、利用者様との何気ない会話や触れ合いに大きなやりがいを感じたことが、介護職を志すきっかけになりました。まだ社会人経験は浅いですが、だからこそ早いうちから専門性を身につけ、将来的には介護福祉士の資格取得を目指し、長く現場で活躍できる人材になりたいと考えています。
避けたいNGな伝え方
志望動機は「何を話すか」と同じくらい「何を話さないか」も重要です。以下のような伝え方は、採用担当者にマイナスの印象を与えやすいので注意しましょう。
| NGな伝え方 | なぜマイナスなのか | 改善の方向性 |
|---|---|---|
| 「求人が多くて採用されやすそうだから」 | 介護そのものへの関心が感じられず、他業界でも良いと思われてしまう | 人手不足という事実には触れつつ、「だからこそ自分の力を役立てたい」という主体的な理由に転換する |
| 「前職の人間関係が辛かったから」 | ネガティブな退職理由をそのまま伝えると、同じ理由でまた辞めるのではと懸念される | ネガティブな経験は「だからこそ大切にしたいこと」という前向きな言葉に変換する |
| 「楽そうだから」「体力に自信があるから」 | 介護の専門性や大変さへの理解不足だと受け取られる | 身体的な業務があることを理解した上で、それでも取り組みたい理由を示す |
| 「とりあえず資格が役立ちそうだから」 | 介護職への熱意より資格取得が目的だと感じさせてしまう | 資格を活かしてどう貢献したいかという先の話まで語る |
共通しているのは「消去法」や「受け身」の理由に聞こえてしまう点です。事実を否定する必要はありませんが、必ず自分なりの前向きな言葉に変換して伝えるようにしましょう。
志望動機以外に準備しておきたいこと
志望動機を練り上げるのと同じくらい、応募先選びや情報収集の質も内定率を左右します。次のような準備もあわせて進めておきましょう。
- 施設の種類(特養・老健・デイサービス・訪問介護など)ごとの特徴を理解しておく
- 初任者研修・実務者研修・介護福祉士など、保有資格や取得予定資格を整理しておく
- 夜勤の有無や勤務シフトなど、働き方の希望条件を明確にしておく
- 複数の施設・法人を比較検討し、条件面でも後悔のない選択をする
特に介護業界は施設によって理念や利用者層、職場の雰囲気が大きく異なります。自己応募だけでは非公開求人や内部事情まで把握しきれないことも多いため、介護分野に強い転職エージェントを併用して情報を補うのも有効な方法です。
介護職に強い転職エージェント・求人サイト
ここでは、介護・福祉分野に特化した転職支援サービスを2つ紹介します。いずれも登録・利用は無料で、非公開求人の紹介や面接対策のサポートを受けられます。
クリックジョブ介護(ライフワンズ株式会社)は、業界最大手クラスの求人数を誇る介護職特化の転職支援サービスです。全国30,000件以上の介護求人を保有し、月給水準や賞与、休日体制などの条件で希望に合った職場を探せるほか、LINEでの相談にも対応しており、忙しい人でも気軽に利用しやすいのが特徴です。

介護JJ(株式会社JJメディケアキャリア)は、介護職・福祉分野専門の転職サイトです。ケアマネジャーや介護スタッフなど幅広い職種の求人を取り扱っており、完全無料の転職サポートを受けながら、経験や資格に合った職場探しを進められます。

気になる求人が複数ある場合は、1社に絞らず登録して比較することで、より条件の良い職場に出会える可能性が広がります。

よくある質問(FAQ)
Q1. 志望動機で資格の有無はどこまで重視されますか?
初任者研修などの資格がなくても、未経験者を積極的に採用している施設は多くあります。ただし「入職後に資格取得を目指す意欲がある」ことを伝えられると、より前向きな姿勢として評価されやすくなります。求人票に「資格不問」「未経験歓迎」と書かれている場合でも、学ぶ姿勢は必ず伝えましょう。
Q2. 家族の介護経験がない場合、どう志望動機を考えればいいですか?
家族の介護経験がなくても問題ありません。ボランティア経験、接客業での高齢者対応、社会貢献への関心など、自分自身の経験の中から「人に寄り添う仕事をしたい」と思ったきっかけを掘り下げれば、十分に説得力のある動機になります。無理に経験を作り話にする必要はありません。
Q3. 面接で給与や待遇について質問しても悪印象になりませんか?
働き方や条件の確認は、長く働き続けるために必要な質問であり、悪印象にはなりません。ただし、志望動機の中心を給与面だけにしてしまうと印象が悪くなるため、志望動機は「働く意義」を中心に据え、条件面の質問は逆質問の場で別途行うのがおすすめです。
まとめ
介護職への転職理由を伝える際は、単に「人の役に立ちたい」で終わらせず、きっかけ・気づき・行動・施設を選んだ理由・将来像という流れで具体的に語ることが、説得力を高める最大のポイントです。あわせて、業界の求人動向や給与、離職率などのデータを理解した上で志望していることを示せると、業界研究をしっかり行っている印象を与えられます。
今回紹介した例文はあくまでベースです。自分自身の経験や、応募する施設の特徴に合わせてアレンジしながら、自分の言葉で語れる志望動機に仕上げていきましょう。転職エージェントなどのサポートも活用しながら、納得のいく転職活動を進めてください。
参照ページ/引用元:
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年10月分)について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66201.html
- 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/index.html
- 公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」 https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/
新卒で入った会社を1年で辞め、情報がないまま手探りで転職活動をした経験があります。その後HR・人材業界で7年間、採用や転職支援の現場に携わってきました。「知っていれば防げた遠回り」を減らせるよう、業界で得た知見とデータをもとにした転職・キャリアの情報をこのブログで発信しています。エージェント選びや書類の書き方など、実践的な内容を中心に更新中です。
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