離職率が高い業界・低い業界はどこ?厚労省データで見る産業別の入職と離職

離職率が高い業界・低い業界はどこ?厚生労働省データで見る産業別の入職と離職 転職データ・市場動向

転職先を考えるとき、「あの業界は離職率が高いらしい」という話を耳にすることがあります。ただ、その数字が何を数えたものなのか、どのくらいなら高いと言えるのかまで確認している人は多くありません。

厚生労働省の「雇用動向調査」では、産業ごとの入職率・離職率が毎年公表されています。ここでは最新の令和6年(2024年)の結果をもとに、業界による差と、その数字をどう読めばよいかを整理します。

そもそも離職率は何を表した数字か

雇用動向調査でいう離職率は、その年の1月1日時点の常用労働者数に対して、1年間に会社を離れた人が何%にあたるかを示したものです。入職率も考え方は同じで、1年間に新しく入ってきた人の割合を指します。

ここで注意したいのは、この数字が「入社した人のうち何%が辞めたか」ではないことです。あくまで在籍者全体に対する割合なので、新卒3年以内の離職率のような「ある集団を追いかけた数字」とは別物として見る必要があります。

2024年の1年間では、パートタイムを含む全体で入職率14.8%・離職率14.2%。フルタイム勤務にあたる「一般労働者」に限ると入職率11.8%・離職率11.5%、パートタイム労働者では入職率22.7%・離職率21.4%でした。就業形態によって水準がかなり違うため、以下は正社員のイメージに近い一般労働者の数字で見ていきます。

産業別の離職率(2024年・一般労働者)

産業別の離職率(一般労働者・2024年)

最も高いのは「サービス業(他に分類されないもの)」の19.0%、次いで「宿泊業,飲食サービス業」18.1%、「生活関連サービス業,娯楽業」16.9%。逆に低いのは「金融業,保険業」7.4%、「教育,学習支援業」と「製造業」がともに8.8%でした。上位と下位で2倍以上の開きがあります。

いわゆる接客・サービス系が上位に並び、設備や技能の蓄積が重視される業種が下位に来る、という傾向は例年おおむね変わりません。人数ベースで見ると離職者が最も多いのは「卸売業,小売業」の142万7千人ですが、これは働いている人の母数が大きいためで、率で見ると10.7%と全体平均に近い水準です。

入職率とセットで見ると印象が変わる

離職率だけを見ると不安になりますが、実際にはその裏で人が入ってきています。入職率から離職率を引いた「入職超過率」を見ると、その業界で働く人が全体として増えているのか減っているのかが分かります。

産業別の入職超過率(一般労働者・2024年)

離職率が2番目に高かった「宿泊業,飲食サービス業」は、入職超過率では3.1ポイントと最も高くなっています。出ていく人も多いが、それを上回る人数が入ってきているということです。一方で「不動産業,物品賃貸業」はマイナス1.3ポイント、「製造業」もマイナス0.5ポイントと、一般労働者では人が減る方向に動いています。

つまり、離職率が高い=人手が足りず採用の門が広い、という読み方もできます。未経験で入りやすい業界を探しているのか、腰を据えて長く働ける業界を探しているのかで、同じ数字の受け取り方は変わってきます。

離職の理由は「個人的理由」が大半

雇用動向調査では、離職理由を「個人的理由」(結婚・出産育児・介護看護・その他の個人的理由)と「事業所側の理由」(経営上の都合・出向・出向元への復帰)に分けて集計しています。

離職理由別の離職率(2024年)

2024年の離職率のうち、個人的理由によるものが10.7%、事業所側の理由によるものは0.8%。会社都合で職を離れるケースは全体から見るとごく一部で、離職の大半は本人の意思や事情によるものだと分かります。

男女差もはっきりしていて、個人的理由による離職率は男性8.8%に対し女性12.9%。結婚・出産・育児・介護といったライフイベントが女性側に偏って影響している状況が、数字にも表れています。なお前年と比べると、個人的理由は0.7ポイント、事業所側の理由は0.1ポイント、それぞれ低下しました。

離職率の高さは「悪い業界」を意味しない

人の出入りが多い構造の業界がある

飲食や小売のように、店舗単位で採用し、学生や短期の働き手も多く受け入れている業界は、構造的に出入りが多くなります。これは職場の質というより、雇用の形そのものの違いです。逆に金融や製造のように、内部で育成して長く働いてもらう前提の業界は数字が低く出ます。

同じ業界でも会社ごとの差は大きい

産業別の数字はあくまで平均です。同じ「医療,福祉」(離職率13.1%)でも、法人によって定着状況はまったく違います。業界の平均値は目安として押さえつつ、実際に受ける会社の状況は個別に確かめる必要があります。

自分の理由と業界平均は別の話

離職の大半が個人的理由であることを踏まえると、「この業界は離職率が高いから避ける」という判断は、必ずしも自分の働きやすさとは結びつきません。自分が何を理由に辞めることになりそうかを考えたほうが、判断材料としては役に立ちます。

求人を見るときにこのデータをどう使うか

実務的には、次のような使い方が現実的です。

  • 業界平均を基準線にする:一般労働者の全産業平均は離職率11.5%。志望業界がこれより高いのか低いのかを、まず頭に入れておく
  • 入職超過率で採用の勢いを見る:プラスが大きい業界は人を増やしている最中で、未経験からの入口も比較的見つけやすい
  • 会社ごとの数字を面接で確かめる:新卒・中途それぞれの定着状況、平均勤続年数、直近の増員状況などは、逆質問で聞ける範囲です
  • 求人票の記載と突き合わせる:常時大量募集が続いている、募集背景が「欠員補充」ばかり、といった点は、業界平均より具体的な手がかりになります

まとめ

2024年の一般労働者の離職率は、全産業平均で11.5%。最も高い「サービス業(他に分類されないもの)」の19.0%と、最も低い「金融業,保険業」の7.4%では2倍以上の開きがありました。ただし離職率が高い業界は入職率も高く、人の出入りが多い構造だという側面もあります。

数字は業界を選ぶときの地図としては役に立ちますが、そのまま「良い・悪い」の判定に使えるものではありません。平均で全体像をつかんだうえで、実際に応募する会社の状況を個別に確認する。この二段構えで見るのが、いちばん無駄が少ない使い方だと思います。

出典

リョウ(reworkブログ運営者)
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新卒で入った会社を1年で辞め、情報がないまま手探りで転職活動をした経験があります。その後HR・人材業界で7年間、採用や転職支援の現場に携わってきました。「知っていれば防げた遠回り」を減らせるよう、業界で得た知見とデータをもとにした転職・キャリアの情報をこのブログで発信しています。エージェント選びや書類の書き方など、実践的な内容を中心に更新中です。

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