転職で年収は本当に上がるのか
転職を考えるとき、多くの人が気になるのが「年収は上がるのか、それとも下がるのか」という点だろう。求人票の年収レンジだけを見て判断しがちだが、実際に転職した人全体で見るとどのような結果になっているのか、公的統計から実態を確認してみたい。
厚生労働省は毎年「雇用動向調査」を実施し、転職して新しい会社に入った人(転職入職者)の賃金が前職と比べてどう変化したかを調べている。この記事では最新の調査結果をもとに、転職と年収の関係を整理し、年収アップを狙う転職活動で意識したいポイントをまとめる。
厚生労働省の調査で見る転職と賃金の実態
転職入職者の4割が年収アップ
厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」によると、2024年中に転職した人のうち、前職と比べて賃金が「増加」した割合は40.5%だった。一方で「減少」した割合は29.4%、「変わらない」が28.4%となっている(厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」)。
つまり転職者の約4割が年収アップを実現している一方で、約3割は年収が下がっているというのが実態だ。「転職すれば給料が上がる」というイメージを持たれがちだが、実際には結果が分かれていることが数字からも分かる。
「増加」の内訳を見ると差が大きい
賃金が「増加」した40.5%の内訳を見ると、「1割以上の増加」が29.4%、「1割未満の増加」が11.2%となっている。つまり年収アップを果たした人の多くは、1割(10%)以上の大幅な増加を実現していることになる。中途半端な条件で転職するのではなく、明確に条件を上げられる転職先を選べた人が、大きな増加につながっていると考えられる。
前年からの変化にも注目
前年の調査と比較すると、「増加」した割合は3.3ポイント上昇し、「減少」した割合は3.0ポイント低下している。人手不足を背景に中途採用市場での賃金水準が上昇傾向にあることがうかがえる結果だ。転職市場全体としては、以前より年収アップを狙いやすい環境になりつつあると言えるだろう。
なぜ年収が上がる転職と下がる転職に分かれるのか
転職理由が「給与の低さ」であるケースが多い
そもそも転職を考えるきっかけとして「給与等収入が少なかった」ことを挙げる人は多く、厚生労働省の調査でも離職理由の上位に継続的に挙がっている項目だ。給与に不満があって転職活動を始める人が多いということは、裏を返せば「前職の給与水準がその人の市場価値より低かった」ケースと、「そもそも希望条件と現実的な市場価値がずれていた」ケースの両方が混在しているということでもある。
年収を上げたくて転職したのに結果的に下がってしまう人がいるのは、自分の市場価値を客観的に把握できないまま、限られた選択肢の中で転職先を決めてしまうことが一因として考えられる。
業種・職種によって水準が異なる
年収の増減は業種・職種であれば、前職より好条件を提示されやすい一方、応募者が多い職種や、未経験からの挑戦になる転職では、年収が横ばいか下がる条件を受け入れざるを得ない場合もある。同じ「転職」でも置かれている状況によって結果は大きく変わるため、平均値だけを見て一喜一憂しすぎないことも大切だ。
年収アップを狙う転職活動で意識したいポイント
自分の市場価値を把握してから動く
年収交渉は「自分がいくら欲しいか」ではなく「市場で自分がいくらの評価を受けるか」がベースになる。転職エージェントのキャリア面談や、複数の求人サイトでのオファー状況を参考にしながら、自分の経験・スキルが今の市場でどの程度評価されるのかを事前に把握しておく、条件交渉の場面で現実的な判断がしやすくなる。
複数社の選考を並行して進める
1社だけの選考で進めてしまうと、提示された条件が良いのか悪いのか比較のしようがない。複数の企業から内定を得られる状態を作っておくことで、条件面での交渉材料が増え、結果的に年収アップにつながりやすくなる。応募のタイミングをある程度そろえて、選考スケジュールが重なるように調整しておくのも一つの方法だ。
在職中に活動し、焦って決めない
離職してから転職活動を始めると、収入が途切れる焦りから、多少条件が悪くても早く決めてしまいたくなりがちだ。可能であれば在職中に活動を始め、経済的な余裕を保ったまま比較検討できる状態を作っておくことが、納得のいく年収交渉につながる。
まとc��
厚生労働省の調査では、転職入職者の約4割が年収アップを実現している一方、約3割は年収が下がっているという結果が示されている。転職すれば自動的に年収が上がるわけではなく、市場価値の把握や複数社比較といった準備の有無によって結果が分かれる部分が大い。焦らず情報収集をしながら、自分にとって納得のいく条件で転職先を選んでいきたい。
新卒で入った会社を1年で辞め、情報がないまま手探りで転職活動をした経験があります。その後HR・人材業界で7年間、採用や転職支援の現場に携わってきました。「知っていれば防げた遠回り」を減らせるよう、業界で得た知見とデータをもとにした転職・キャリアの情報をこのブログで発信しています。エージェント選びや書類の書き方など、実践的な内容を中心に更新中です。
reworkブログの記事一覧を見る


コメント